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異端の鳥のチョコミントのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
かなり消耗させられた作品。こんなに消耗したのはセルビアンフィルム以来ではなかろうか。
しかしとても素晴らしい作品だと思う。
とても長く残酷な描写も多いので、観る方はそれなりの覚悟をして観た方がいいと思う。

第二次世界大戦下の欧州のとある国に、ホロコーストを回避するために疎開させられたひとりの「少年JOSKA(ヨスカ)」が居た。
出会いと別れを繰り返し放浪して生きる中で、暴力や迫害、性的な虐待など過酷で様々な仕打ちを受けて来た影響から怒りや恨みが芽生えて心情に変化が現れる。
かつて純粋で優しかった「少年」の面影は消え、激情を抑えられなくなった「少年」は自身もまた時代に毒され狂気を持つ人間の1人へと変貌してゆく。
この少年が疎開から迎えに来た父親に出会い、心を取り戻すまでの、それぞれの移動先で関わった人の名前がタイトルのショートストーリーになっている。


戦争という過酷な環境下に置かれた人々が行う残酷な暴力や、その裏にある人間の脆さを問いかける本作は、人間、暴力、差別、戦争についてなど、様々なテーマを観ている者に問いかけ考えさせられる。
原作となった作者の自叙伝的小説「ペインティッド・バード」が1965年に発行されて半世紀以上経ち、紆余曲折を得て映像化にこぎつけた『異端の鳥』。シナリオに3年、資金調達に4年、撮影に2年等全てを合わせると11年もの年月をかけて完成の運びとなった。

モノクロ故の少年の瞳の変化がとても良く強調され、場所があえて特定できないように言語はスラヴィッグ・エスペランド語という人工言語で描かれている。
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