ショウコ

異端の鳥のショウコのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.6
人間の「性悪説」を浮き彫りにしています。トリアーあたりが作ったと言われたら信じちゃいそう。
孤独な少年の社会(地獄)見学。家と身寄りを失くし、戦時中を彷徨いながら色んな人たちに出会うんですが大体みんな汚ったないの!

あっ…あの作品に似てる💡って随所で思いましたよ。真っ先に浮かんだのは、超能力を持った女の子が住込みお手伝いさんとして家庭を転々としていき人間の醜さを理解していく「家族八景」。関わる人が変わるたびに暗転して人物名の文字が浮かびあがる章立てスタイルからも連作小説を読んでる気分にさせられます。そういや「ドッグヴィル」もこんな感じでしたっけね

少年が出会う人々は田舎でひっそり暮らす農家だったり漁師だったり教会だったり軍隊だったり。食う為にそこで一時的に働くわけですけど彼の順応性たるや…!あっという間に仕事を覚える吸収力は良いんですが、人間の醜さに触れるたび「この世界で生きる術」までも身に付けていきます。
「悪童日記」と同じく悲しい成長物語とも言えるし、焼討ちシーンは嫌でも「炎628」を思い出してしまう💀



女性の股間に酒ビンを突っ込んでミドルシュート、ネズミの大群に齧られての断末魔、眼球を抉るスプーンワーク、男色家アッー、ショタ姉さんの逆レイプ+童貞の心を深く傷付けるビンタなどなど直視に耐えない非道行為テンコ盛りなんですが…何と言うか…やってる内容の割に表現がちょっと可愛らしいんですよね。ゴアは絶妙に避けてるし

特に動きのあるシーンが下手っぴで、焼討ち大虐殺はうっかりするとドタバタコントに見えてしまいます。ちょいちょい自主制作みたいになって崩れかけるところ白黒映像に誤魔化されギリギリ観ていられる…という感じ。ゴッドファーザーも真っ青のヤギの首はたぶん笑わせに来てる🤔

何でも無いシーンの間延びが気になりましたが、10歳ぐらいの子供が酷いメにあい続ける話は現代じゃなかなか作れない。観ても損はしないと思います
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