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異端の鳥のlpのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
2019年のヴェネツィア国際映画祭を皮切りに、東京国際映画祭のワールドフォーカス部門にも出品されたモノクロ映画。

戦時下の欧州を舞台に、次から次へと災難に見舞われる少年の姿を捉える。想像可能な範囲内の悲惨な出来事が全て映し出され、何れの事象も主人公の少年に対して容赦がないので、「ここまでやるのか!」とまずは驚愕。
しかし、悲惨な分だけ主人公に感情移入せずにはいられなくなり、映画にはグイグイ惹き付けられてしまう。すっかり見入ってしまい、観賞後の疲労度は相当なものだった。

やがて映画は悲惨な出来事に流されるままだった少年が、環境に抗う姿を描くのだけど、その姿に「成長」といった安易なカタルシスは無し。厳しい環境下で「ダークな強さ」を勝ち得てしまった少年の姿をドライに淡々と映し、人間と戦争の恐ろしさを訴えかけてくる。
ここまで突き放して描く監督の胆力には脱帽だ。主演のペトル・コラールの演技も本当に素晴らしかった!

まさに力作。オススメです。
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