TOMJFK

レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想いのTOMJFKのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

自然との共存から近代国家の偽善を描く

久々に重い映画を観た。
テーマは・・・ 先住民族文化への尊重と・・・ 権力の笠を着た政府の偽善と・・・ 人間にとって最も大事な「家族を守ること」と・・・
これは人間の「生き様」を 大自然と共存して生きる先住民族文化と 利権やエゴを「偽善」という仮面で隠した文明社会とを 比較して描いた作品だ

そこそこの余韻が残った
それは、そうした「生き様」の是非を、観客の心に問うからだ
それにしてもブラッドピットは 荒野の馬や草原によく似合う!
そうした光景の中にいるだけで絵になっている
スザンナ演じるジュリア・オーモンドも素晴らしかった
いや 父親役のアンソニー・ホプキンスも 長男のエイダン・クインも 三男のヘンリー・トーマスも 出演者みんなが情感あって素晴らしかった
家族の絆がよく描かれていた・・・心温まる (三男役のヘンリーは『ET』エリオット少年だったとは!)
末弟のサミュエルの痛まし過ぎる死、 第一次大戦の戦場の描き方も迫力があった
「正義のための戦争」という偽善に気づかず 軍隊に志願する長男と末弟だが、 自然児の次男ブラビだけはそうした人間社会の偽善に気づいていた
それは旅立つ際の父と目を合わせただけでわかる
もう一人 婚約者スザンナも、現実的に彼の「正義への盲信」にも気づいていた・・・ この作品は監督の描き方が重厚で、しっかりしていた
自然と共存している先住民の生き方をベースに描き、 その対極としての現代社会の偽善を浮き彫りにし、その虚しさを描く
また雄大でナチュラルなジェームズ・ホーナーの音楽も全編、素晴らしい。
さて肝心の「生き様」だが・・・ ラストの2つがなかなか付いてゆけない・・・ 一つは、訪ねてきた警官達を殺して家族を守ること・・・
ここでも作者は観客に、「法か家族か」の究極の選択を迫る
もう一つは、自然界で熊に殺される人間の「死に様」を肯定しているラストシーン・・・ 自分の死も自然界の一部だということだが、これを観客は肯定できるか?
いずれにしても大画面で観ることをお勧めする一作である。
2013/4/3 12:24
TOMJFK

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