Hana

一人っ子の国のHanaのレビュー・感想・評価

一人っ子の国(2019年製作の映画)
4.1
面白いのは、ローカルな伝統芸能や歌を用いて積極的にプロパガンダを市民が担っていくところだった。学生の合唱団から民間の広告的な歌、祭のシーンもあった。中国共産党から与えられる星の数が家の前に掲示されるところとか見ていると、こんな田舎まで浸透する強権政治はすごいなと端的に思う。不妊手術を強制されていたとかも物凄い。政策としては2015年まで続いていたから最近の出来事だし、自分もぎりぎり高校生の期間に被っているので学校で勉強してたけど、そのリアリティは知らなかった。

いろいろ思うけど、国策がどうこうという前に国家が人の生殖をコントロールしようなんてキモすぎることがあってはいけない。最近の日本における、「産んだら奨学金返済不要問題」もそうだけど、このドキュメンタリーは如実にそれを感じさせるようだった。「個人の感情よりも国策だった」「人工戦争を戦っていた」と、ドキュメンタリーの中で助産師の女性はしゃべっていた。不妊手術を断ったら屋根を破壊する中国共産党と、出産しなかったら借金を背負わされる日本…そう考えると、これら言葉は当時の中国だけではなく今の日本にも当てはまるし、実際はどちらの国も考えることの大差はないんだろうな。
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