レインウォッチャー

コーポレート・アニマルズのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

コーポレート・アニマルズ(2019年製作の映画)
3.0
この世のあらゆるハラスメントを結集させたような女社長が、無謀な社員研修を断行。社員たちと洞窟に閉じ込められる。

クソ社長を演じるのはなんとデミ・ムーア。ろくろを回していた頃も今は昔。

ブラックな限定シチュコメディで、そこまで目新しいサムシングがあるわけではないのだけれど、ギリギリの状況で同僚を食うか食わないか、食うならどうあるべきか、遺言は有効になるか、みたいな議論は単なる感情論を超えたところに踏み込んでいて、一考の価値があった。

わたしはあらゆる観点、特に動物愛護からの肉食制限には殆ど興味をもたないと決めているし今後も変わらないだろうけれど、それでも「食べるときはありがたく感謝を」という言い分はエゴを隠すためにさすがに都合がよすぎると考えている。

その矛盾を図らずも今作は少し言い当てていて、つまり上記のような言い分は自分もまた誰かに食べられるかも、という状況においてのみフェアに成立するのではないか。
多くの場合、死んだら火葬にしてしまう近代社会だと自然にリリースすることができなくなっているわけで、死んだら粉末にしたあと分別して家畜や海や森に撒くとか、今作のある人物よろしくドナーカード的なもので生前から食べられ意志表明しておくというのが、われわれ肉食派が真に果たすべき責任かもしれない。まあそんなこと関係なく今日もエゴまるだしで有難くお肉食べますけど。

ところでこういうサバイバルものを観るたび思うのだけれど、スマホってもうずいぶんと進化が頭打ちなのだから、そろそろ「食べられる機能」があっても良いのでは。まずはきっと、アップル味だよね。