延々と歩く

マリッジ・ストーリーの延々と歩くのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
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 ネットフリックス製の評価の高い人間ドラマ。ニューヨーク演劇界のトップにいる夫婦が、離婚することになって法律制度のむずかしさやらお互いへの不満やらで大変になっていくお話。

 普通の人たちが生きる現実を、腕のいい役者の演技アンサンブルで見せていく映画だった。「ダイ・ハード3」と「007 ゴールデンアイ」で育った男なのであまり乗りきれない。ロビー・ライアンによる映像は暖かいし、内容に合わせたのか演劇関係者が多そうな脇役たちも印象的。まあちょっと「くさい演技」というか、キッチリしすぎな感はあったけど。

 結婚はおろか恋愛経験すらない仙人系男子がこういう映画に何を言えるのか自分でも分からぬが、とはいえここまでハッキリやりたいことのある男女が、夫婦生活だけでも色々あろうに子育てまでやるとなったらもうアレなことにしかならないよねという感想。

 法制度の複雑さに夫が爆発、しかしそばにいた老弁護士は「これが無ければ弱い人々を守れない…貧乏な人には制度が必要だ」とつぶやく。そういう現実もあるのだろう。

 いっそのこと自分の仕事を全うしたい人は仕事だけやって、子供が出来てもちゃんとした里親をみつけて育児全般は任せちゃった方がすっきりしそうだが、じゃあこの夫婦の立場になった時そう単純に思いきれるかと問われればぐぬぬと絶句するしかない。

 脱線するけど「仕事と子育ての分離」って行き着く先はディストピアSFみたいな、ジョージ・ルーカスがスターウォーズプリクエルで描いたクローン人間たちが巨大AIに育成されていく世界みたいな気がして、そこへの一歩をお前の一存で踏み出させるのか…みたいなディレンマがいつも頭に浮かぶ。そこまで悩まなくてもいいのだろうが。
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