Kawaguchi

マリッジ・ストーリーのKawaguchiのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.6
5/16 追記

「イカとクジラ」で成功を収め、そこから興行的には上手くいかず、停滞していたノア・バームバックですが、パートナーであるグレタ・ガーウィグに出会った事が最高の選択でしたね。グレタと共に作品を作る事によって、ノアは相手のことを真剣に考えるようになります。そして、グレタは「レディバード」で高い評価を得て、「若草物語」を撮るスター監督・脚本家になります。ノア自身も「フランシ・ハ」から、本作まで素晴らしい作品を作ってます。私は「マリッジストーリー」の続きにノアの人生が存在するのだと思います。

 本作は同じ離婚劇を描いたグリンバーグから9年目にしてやっと、彼女の立場も描きやっと自分が悪かったと気づきと次に進みます。劇中、靴紐が解けている事を気付けるのは、その人の頭の天辺から足元まで気にしていないと。気づけないですよね。好きな人じゃないと気づかないですよね。クレイマークレイマーにもありましたが、ここの演出がとても好きです。

 解けた靴紐で表されるように、「矛盾しているが私は彼を愛する事をやめられないです。たとえ、何の意味が無かったとしても。」と、このセリフがこの映画の全てですよね。嫌いになったから、別れる訳ではないんです。そんな単純なものではないんです。

 2019年、『マリッジ・ストーリー』よりも卓越した演出と演技と撮影と編集による「ただの映画」がありましたか。
Kawaguchi

Kawaguchi