エソラゴト

マリッジ・ストーリーのエソラゴトのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
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うーん…胸にチクチク刺さるどころかグッサリと突き刺されてグリグリとエグられるような作品でした。この感覚は『ブルーバレンタイン』を観た時と似ているような…。親権や養育権を争う作品としては『クレイマー、クレイマー』に近い作品なのでしょうが、自分が鑑賞したのはまだまだ全然お子様の高校生の頃…当時はフレンチトースト食べたくなるなぁ位の感想しかなかったのですが(笑)、今作鑑賞後改めてきちんと観てみたくなりました。

それにしても、主演2人の演技を超越した演技は圧巻でした。その臨界点は終盤に訪れる長回しによる対峙シーン。自分にも似たような経験が過去にあったので、胸が苦しくなり過呼吸寸前…今回、劇場ではなくて自宅で鑑賞して正解でした(汗)

激しい感情のぶつかり合いの末に残された部屋のある傷跡…後にチャーリー自身が植木や絵画等を飾ることでいくらでも隠す事が出来たであろうその生々しい傷跡も敢えて人目に晒していたのは、彼自身がそれを毎回直視することで自身と向き合い、己への戒めにしていたのではなかろうかと推測しました(かくいう自分も前述の大喧嘩の際に勢い余ってタンスの表面に同じような傷跡を作ってしまったので…大汗)

"覆水盆に返らず"

こうなる前にお互いにもっと出来た事すべき事があったのではないか…すれ違い、言葉足らず、無関心…それこそ要因は様々。新婚生活は甘いが、数年後の現実はそう甘くはないー。そういった警告の意味ではこれから結婚する若しくは考えている方に必見な作品なのかもしれません。(題名の意味もそこから来ているのかも)


追記:発声に特徴のある主演の2人。スカーレット・ヨハンソンのハスキーボイスには勿論そそられましたが、アダム・ドライバーの生歌は予想に反した美声で聴き惚れてしまいました。