このレビューはネタバレを含みます
冒頭で泣いた映画は初めてでした。
ノア・バームバック監督は
本当に人の心の描写が美しいなと思います。
スカーレット・ヨハンソンの声と、
少年のような爽やかさから溢れる色気も最高なんだけれども、
アダム・ドライバーの、
不器用で無意識の傲慢さが滲み出る演技。
そこにランディ・ニューマンの音楽。
脇を固める役者陣も、個性とやわらかさのバランスが本当に素晴らしくて、
人生ベスト10映画に食い込んできそうです。
NYのバーでアダム・ドライバーの歌うBeing Alive。
舞台監督という職業柄、
セリフまで覚えているその歌を、
ピアニストが弾き始めたときは、
きっと反射で歌い出したのだろうと思うのです。
歌ううちに変わってゆく表情。
涙なしには観られませんでした。
アダム・ドライバーは「パターソン」でも本当に素晴らしかったけれど、なんて素敵な役者さんなんでしょうか。
Being Aliveが歌われる、
オリジナルの舞台も観たいです。
長い人生の中で、
一瞬でも誰かと向き合える時間は、
奇跡のようなものなのだと思いました。
気持ちは変わらなくても、関係は変わることもある。その逆もまた。
タイミングや色々なものが重なって、
向き合えなくなることもある。
今向き合えている人がいるなら、
大切にしたほうがいい、と心から思います。
そんな大切なことに気付かせてくれた映画。
最後スカーレット・ヨハンソンが、
靴紐を結んでくれるシーン。
ダメ押しでした。
観終わったあと、夜の街を1人歩きながら、映画の余韻を噛みしめました。
そんな時間が必要な、素晴らしい作品。