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マリッジ・ストーリーのsicklychicのネタバレレビュー・内容・結末

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

冒頭で泣いた映画は初めてでした。

ノア・バームバック監督は
本当に人の心の描写が美しいなと思います。

スカーレット・ヨハンソンの声と、
少年のような爽やかさから溢れる色気も最高なんだけれども、
アダム・ドライバーの、
不器用で無意識の傲慢さが滲み出る演技。
そこにランディ・ニューマンの音楽。
脇を固める役者陣も、個性とやわらかさのバランスが本当に素晴らしくて、
人生ベスト10映画に食い込んできそうです。

NYのバーでアダム・ドライバーの歌うBeing Alive。

舞台監督という職業柄、
セリフまで覚えているその歌を、
ピアニストが弾き始めたときは、
きっと反射で歌い出したのだろうと思うのです。
歌ううちに変わってゆく表情。
涙なしには観られませんでした。

アダム・ドライバーは「パターソン」でも本当に素晴らしかったけれど、なんて素敵な役者さんなんでしょうか。

Being Aliveが歌われる、
オリジナルの舞台も観たいです。

長い人生の中で、
一瞬でも誰かと向き合える時間は、
奇跡のようなものなのだと思いました。
気持ちは変わらなくても、関係は変わることもある。その逆もまた。
タイミングや色々なものが重なって、
向き合えなくなることもある。
今向き合えている人がいるなら、
大切にしたほうがいい、と心から思います。

そんな大切なことに気付かせてくれた映画。

最後スカーレット・ヨハンソンが、
靴紐を結んでくれるシーン。
ダメ押しでした。

観終わったあと、夜の街を1人歩きながら、映画の余韻を噛みしめました。
そんな時間が必要な、素晴らしい作品。
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