とむ

マリッジ・ストーリーのとむのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.5
本人たちの思いや考えは途中でなきものになり、結局間をしっちゃかめっちゃかにしてるのは私情を挟んだ第三者。

裁判のシーンなんか特にそれが顕著だけど、自分たちが意図せずに見せたある種の「弱み」を武器にされる痛々しさ。
最初から出会わなければ良かった!なんて言いたくもなるだろうってくらい、辛くて厳しい。


この映画、編集的な観点から見ても結構面白くて、
普通は如何に不自然に違和感なくスムーズに展開させていくかが編集の役割だと思うんだけど、
この映画ではむしろ不自然な編集の方が印象に残る。

あるシーンでは演者が隣の部屋に行って画からは消えてるのにその導線をずーっと写してる。
のを切り返したりせずそのまま使ってる。

かと思えば、「ここ見せ場ですよ!!!!」ってのをあまりにも露骨なカットバックで見せたりする。
みんな覚えてると思うけど、門のシーンのとことかね。


そして、見た人なら特に印象に残るシーンだと思うけどなんと言ってもやっぱり「壁の穴」は名シーン。
アダムドライバーがそのシーンのラストで泣き崩れるけど、
そのキッカケになる台詞で俺も泣いた。
だって、あまりにも痛すぎて。
そして、身に覚えがありすぎて…。


うちの両親も「この二人なんで別れないんだ…?」ってくらいボコボコに喧嘩しまくってるケド、そんなうちの母が前にこんなコトを言っていた。

「好きだとか嫌いだとか、単純にヒトコトで言い表せない事情が各夫婦にはある。
だから第三者が好き勝手口を挟んじゃあいけない。当人たちの痛みは当人たち同士の問題だ」

うちのオカン、そろそろ映画でも撮ったらいいと思う。
とむ

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