いくまる

ハニーボーイのいくまるのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
3.9
あれも犯罪、これも犯罪、今のも虐待、あれはトラウマもの…
と分かって見ていても、子どもの世界の大部分を占める存在が行うことは全て愛情表現だと思いたい。
大人になって振り返れば、誰かに指摘されれば、今なら親が間違えたよねって言えるけど、そうやって育ってしまった以上貰った言葉や行動を否定されたらアイデンティティも崩れてしまうよ。

しんどさしかないのに、大人になって出会えたからセラピー映画のようにも感じてしまった。


シャイア・ラブーフの自伝的映画で、自らが父親役をすることで当時の父親の気持ちを分かろうとしたりきちんと裁かせようとしたというのは上手くいったのかな?
上書きされてもいつかまた跳ね返ってきたりしないのかな。
色々考えてしまいました。


観終えてエスカレーターを降りながら反芻していたら、前を歩く女子2人が「虐待ってほど酷くなかったよね?」「予告とチラシ詐欺だよ〜」「これでグレるってヤバくない?」と延々話していて。
映画ってバックボーンやバックグラウンドが違うと受け取り方も全然違って、それは現実の話にも言えることで、あの子たちと私は多分今後も同じ目線で映画を見る事は無いんだなぁなんてぼんやりと。
あの子たちがこの映画のセラピー的な良さを感じられなかったというのは、この辛さしんどさを分からないというのは、とても幸せなことなんじゃないかなと思います。
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