ラウぺ

ファグスーグロピウスと近代建築の胎動のラウぺのレビュー・感想・評価

3.7
グロピウスがバウハウスを開校する8年前の1911年から建設が開始されたファグス靴型工場を紹介するドキュメンタリー。
バウハウス100年映画祭「プログラムC」

コンクリートと開口部の大きな窓にシンプルな外観を持つ建物は紛れもなくモダニズム建築の原型を思わせます。
創業者のベンシャイトの理想とする「労働者のための宮殿」はそのままバウハウスの理念に直結するコンセプトで、グロピウスとマイヤーの手による工場は労働環境としての細やかな配慮の上に設計されていることが分かります。

グロピウスが設計するにあたり20世紀初頭のアメリカの工場の写真を集めた、とのエピソードは単なるドイツ的合理主義だけではないグローバルな視点のもとに機能的な建物の設計が行われ、結果的にバウハウスがドイツの芸術学校という枠内には収まらないところに立脚点があった、ということを知ることができるのでした。

世界遺産に登録され、現在も操業を続ける工場の外観は、シンプルな中にもどこか人の手になる温かみを感じるもので、「労働者のための宮殿」をまさに体現していると思いました。
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