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娘は戦場で生まれたのcookieのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
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番組表のEテレ「ドキュランドへようこそ」の欄に、クリップしている本作のタイトルを見つけた。
枠が短いのに同一作品なのかどうか、半信半疑で見始める。
「カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞 受賞作品」
やはり同じだ。配慮のためか半分がカットされ、日本語のナレーションで違和感なく繋げられているようだ。

50分の長さといえども、目を覆いたくなるシーンの数々。悲しみに暮れてしまう。
カットなしの100分を見続けられる自信がない。現実をしっかり見届けるべきなのはわかっているけれど...

親にならって国を捨てない使命感を口にする少年。それが死と隣り合わせだということも理解している。あの若さでそこまでのものを抱えて明日をもわからない時を生きている。
あんな小さな女の子が、私ですら知らない「クラスター爆弾」を知っている。

シリアを守り抜きたい、今起きていることを後にしっかりと娘に伝えたい、その一心でカメラを回し続けるワアド。
たった一人の医師となって使命を貫き続けるハムザ。

最後の砦に交渉人として国連が介入しても、あの程度のものなのか...

なぜこれがイギリス映画なのか疑問だったが、ラストで納得。

子供を抱えながらも少しの淀みもない二人の固い意志があったからこそ、私たちはこうして命がけの映像を観ることができている。

こういう映画がどれだけ作られても、今また同じ過ちが繰り返され、ニュースで流れる一般市民の悲痛な声に涙するしかない毎日。虚しくてたまらない。

※クラスター爆弾
ひとつの容器(親爆弾)の中に数個から何百個もの子爆弾が入った爆弾。
発射されると空中で破裂し、子爆弾が広い範囲にばらまかれて爆発する仕組み。
子爆弾の5%~30%が不発弾として残り、その後も民間人に大きな被害をもたらすことから、非人道的だとして発効されたのが「クラスター爆弾禁止条約」(オスロ条約)。
日本は加盟しているが、米国・ロシア・中国といった大国は加盟していない。
現在のウクライナへの侵攻にロシア軍がクラスター爆弾を使用したという報道も出ている。
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