見せ物としての「戦争映画」ではなく、虐殺の記録。そこに呑み込まれる準備をしてから観はじめた方が良いかもしれない。
街の破壊、生活の破壊、人生の破壊、人体の破壊。
そんな死地になぜ残るのか、そんな死地でなぜ残すのか。
恐らくそれは、逆説的にも、生きるため。
尊厳をもった存在として生きるため。
尊厳をもって生きられる世界を遺すため。
for Sama.
そしてこれは、私たちが今日どこかの道端ですれ違った誰かの話でもある。
故郷では生きたくとも生きていけない事情を抱え、尊厳まで踏みつけられ、骨身まで傷付けられながらも、命だけでもつなぎとめるために、なりふり構わず故郷を棄てて走らなくてはならなかった人生を生きる誰かの話。
今も痛みを抱え、苦しみに涙し、絶望の中に小さく生きている、私たちと同じ街に住む誰かの話。
想像もつかない彼らの世界は、私たちの日常と幾重にもつながっているんだ。
この世界をどうやって癒していくのか。問われている。
世界中のすべての"Sama"のために。