無何有郷

娘は戦場で生まれたの無何有郷のレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
5.0
ただただ死や恐怖を映しただけではない、戦場の中にも確かにあった愛おしい日常の記録でもある。自由と革命、仲間、恋愛、家族、子供たち、新しい命の奇跡のような産声。「普通の生活」をすることこそが最大の抵抗になる。チェス、爆破されたバスでの遊び、死と隣合わせながらもミサイルを昼ドラに例えるような冗談も。そして、アラブの春以降のイスラームの女性の闘いの重要な軌跡。家父長制の下の「守られるべき女性」ではない、カメラを持ち、男性と共に全線で対等に闘うその姿に胸打たれる。
監督の「世界中の人が動画を観ているのになぜ何もしてくれないのか」という言葉が刺さる。日本人ジャーナリストもまたこのアレッポで亡くなっている。その時一体どれだけの人が自己責任論で切り捨てただろう。全ての人が観るべきドキュメンタリー。
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