KnightsofOdessa

乳母のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

乳母(1999年製作の映画)
4.5
[扉を閉め続ける男の出会い] 90点

大傑作。1999年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。マルコ・ベロッキオ長編16作目。正直イタリア映画もベロッキオも合わなすぎて色々諦めかけていたんだが、諦めなくて良かったと素直に思える凄さ。20世紀初頭のイタリアで精神科医の男とその妻の間に子供が産まれるが、妻が子供の世話をできそうにないので乳母を雇うという話。冒頭の列車の窓から女性たちが走る姿を見て、馬車の窓から警官隊が走る姿を見て、精神病院の窓から妻が去る姿を観るように常に激動の社会とは一歩離れた場所から世界を傍観している主人公は、患者を妻を赤子を残してドアを閉め続けるが、終盤になって窓→屋敷内に侵入して妻と語り合った後で、馬車を降りて群衆に逆らって歩き、乳母の消えたアパートの扉を押し開ける。木々に登った女性患者が一斉にボトボトと降りてくるシーンはドヴジェンコとかソーンツェワとか思い出した。言及の多い雨降ったからシーツを取り込むシーンの多幸感とイタリア語レッスンのマヤ・サンサは確かにエグい。
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