もとまち

ラ・ヴァルスのもとまちのレビュー・感想・評価

ラ・ヴァルス(1990年製作の映画)
3.8
犯した男/犯された女。食い違う二人の証言。果たして正しいのはどちらの話か?...『藪の中』を思わせるミステリー仕立ての物語がすこぶる面白く、90年代の出来の良い火サスを思わされる出来。本作も『アリエッタ』と同じく実相寺昭雄が監督したAVで、出演しているのもほとんどがAV出身の俳優だが、みんな演技がナチュラルに上手で普通の役者と何ら遜色ない。事件の真相を究明する弁護士として寺田農が出演しており、いわゆる探偵役として渋い活躍を見せてくれるのが良かった。加賀恵子も『アリエッタ』とはまた違う役どころを丁寧に演じきっていて印象的。真実に一歩一歩迫るたび、都市を生きる人間たちの闇がじんわりと滲み出てくるようで、終わりの見えない生き地獄のようなラストは前作とのテーマ上の繋がりを少し感じる。
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