マヒロ

呪いの館のマヒロのレビュー・感想・評価

呪いの館(1966年製作の映画)
2.0
イタリアの田舎町で、女性が自ら身を投げるような形で尖った柵の上に突き刺さって亡くなるという奇妙な事件が起きる。警察署長クルーガーに呼ばれ町にやってきた検屍官であるエズウェイだったが、町の人々は非協力的な態度を取り、あまつさえ妨害するような行動をとる。そのうち、エズウェイは町にまつわる呪いにつ言うての話を耳にする……というお話。

閉鎖的な町で巻き起こる死の連鎖、奇妙な少女の幽霊、怪しげな館とその女主人……という分かりやすいゴシックホラー。これより前にバーヴァ監督が撮った『モデル連続殺人』とかよりも残酷描写もかなり控えめで、ショッキングなジャーロ風味ではなく昔ながらのホラーにあえて寄せていってる感じがある。
最もインパクトの強かった、少女の幽霊のシックな画面に似つかわしくないブロンドの髪と白いワンピースというルックスの異物感は、後のフェリーニの『悪魔の首飾り』の少女に良く似ていて、ここから影響を受けているように思えた。

作りは整っているが、逆に言うと様式美から逸脱出来ておらず、ホラーとしての遊びがほとんど感じられなかった。もっと昔の『血塗られた墓標』もゴシックホラー的作品だったが、そちらの方がショック描写にも工夫があって面白かったかな。
館で迷った主人公が、同じ部屋から抜け出せなくなる無限ループに入り込んでしまい、必死で部屋を走り抜けまくったらループしている自分の背中に追いついてしまうところはギョッとしたが、特に目を引く場面はそこくらいだったかも。

(2022.209)
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