マリオ・バーヴァの代表作の一つで、ゴシックホラーの古典として様々な影響を及ぼした。予算面では苦戦し、一部はバーヴァ自身が命綱なしでの撮影を強いられた一方、興行的には成功しバーヴァ作品として最も多いイタリア国内収益をあげた。
カラーのゴシックホラーで、廃れた貴族の館、魔女、長い金髪の少女、らせん階段と「ゴシックホラーといえば」という要素が詰め込まれている。
かなり大胆な撮影をしており、ブランコのように前後に大きく振れたり無限に続くらせん階段を回転させて撮ったりと面白い試みをしている。ドアを開けても開けても同じ部屋に着いてしまい、前を行く自分のドッペルゲンガーを映したりと映像的に非常に凝っていて興味深い。
廃墟や街の廃れた美術、ゴシックな衣装とメイクなどもいつも通り素晴らしい。金髪ロングの少女メリッサを演じた少女の目が怖すぎる。
白いボールが無人の空間から転がっているというイメージはフェリーニ『世にも奇妙な物語』に影響を及ぼしたとされ、たまごっちやポケモンといったアニメ作品にもこのイメージが転用されていると指摘されている。またスコセッシも『最後の誘惑』で本作の色彩、照明を真似ている。
最近だとメリッサのビジュアルはギレルモ・デル・トロ『クリムゾン・ピーク』のミア・ワシコウスカがそのままのビジュアルだったのを思い出した。
少々大げさな演出、音楽は気になるが、ゴシックホラーとして満点の作品。バーヴァ作品の中ではベストではないが、エポックメイキングな重要作と言えるだろう。ゴシックホラー大好きな僕としては大いに楽しめた。