猫脳髄

呪いの館の猫脳髄のレビュー・感想・評価

呪いの館(1966年製作の映画)
3.8
黒沢清「ホラー映画ベスト50」(1993)第34位

おそらく同時代のハマー・フィルムを意識したであろう古式ゆかしい怪奇映画のはずだが、どうも勝手が違う。

バインバインと寄り引きを繰り返すズームや室内をグリングリン見回す独特のカメラワーク、表現主義的な迷宮めいた街のセット、昼か夜か、光源も強さもよくわからない照明、不気味をそそる音楽など、バーヴァのオリジナリティにあふれている。

ストーリー自体はリニアに展開するものの、演出は随分ねじくれ…いや凝っている。冒頭からの絶叫スタート、やたら尖ったものに刺さりたがる犠牲者たち、唐突な無限ループの発生など、従来の怪奇映画の枠組みに捕らわれない進取の気性にあふれている。ゆえに全体観では破綻しているが、ひとつひとつは大変興味深い。ちょっとハマりそうな予感。
猫脳髄

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