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バーナデット ママは行方不明のHALのレビュー・感想・評価

5.0
もしかしたらリンクレイター監督作品で一番好きかもしれない。メンタルヘルスと家族(そして建築!)の話だと思っていたが、あの土砂降りを機に映画がどんどん未開の大地へと転がっていく。間違いなく人生で一番好きな南極映画。小学生の頃の将来の夢が南極に行くことだったのを思い出す。今年一番美しいエンドロールだと思った。あんなものを見せられたら在りし日の科学少年は泣いてしまう。

真っ白な氷の世界に向かうまでのシアトルでも、どこか退廃的な美に満ちたショットの数々に撃ち抜かれた。そしてエンドロールに登場するあのカッコ良すぎる南極建築、”ハリー第6基地” っていうのか!!あの建築のもつ美しさと合理性とユーモアに号泣してしまったし、ここにソフトランディングする『バーナデット』の物語を語りおおせてしまったリンクレイター監督の手腕に感動した。マジですごい映画だ。芸術家の苦しみについての映画であり、とっても夢のある(「南極に行くこと」の現実味もかなりある)SF冒険映画でもある。それって建築家とIT発明家の血を引いた子どもみたいだな。ナレーションが彼女であるのもラストシーンに響くナイスな仕掛けだ。
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