バランシーン

誰がハマーショルドを殺したかのバランシーンのレビュー・感想・評価

3.5
不可解な失踪とか死、事故の類は正直大好きです。
まあ、趣味がいいとは思わないが、謎が混み入れば混み入るほど惹かれますよね。

で、本作もそういう不可解な事故に付随する謎にアプローチするドキュメンタリー、みたいなものを想定していたら…いやー見事に外されました。これ純度100%エンタメとして見れます。全然肩肘張る必要ないです。

題名通り、話は今から60年以上前の国連事務総長のアフリカ・コンゴでの墜落死は事故ではなく暗殺だった、誰が?何の目的で?という基本線を巡って展開するのですが、とにかく監督のおっさんのオタクっぽい喋りたがり感と、肝心の疑問の根拠が薄弱(出どころ不明の鉄板〜作中では墜落機の残骸と言い張っている〜に弾痕っぽいものが残ってる!とか)で、冒頭からツッコミどころだらけ。
しかも、開始60分くらいでシレッと暗殺犯らしき人間の名前、判明しちゃいます(笑)
終わっちゃったじゃん!と思ったのですが、本作はそこから怒涛の完全エンタメに振り切った展開が観客に襲いかかってきます。

・暗殺の背景にはCIAとMI6がいた(出た!)
・計画を請け負ったのは、南アフリカのサイマーなる秘密機関(コンゴと南アって直線でも3500キロくらい離れてるけど大丈夫?)
・サイマーのトップはキース・マックスウェルなる常時白づくめの謎の人物(ナイスキャラ登場!)
・マックスウェルは医師免許も知識もないのに、診療所を複数開いて黒人に医療提供していた(!陰謀の匂い)
・マックスウェルとサイマーには、恐ろしい目的があり…

もはやハマーショルド何の関係もなし(笑)
でも、変なドライブがかかっててここからが俄然面白いんですよ。
ネタバレになるんで、サイマーが何を目指してたのかは言いませんが(笑)

主役的に登場する監督のキャラも相まって、全く事前の想定とは180度違う方向で楽しめる作品。もう一回言いますが、ハマーショルド全然関係ないやん!(笑)
堂々と顔出しでそんな恐ろしい秘密機関について語っていた作中の皆さんの、その後の無事を祈ります。
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