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世紀の終わりのIのネタバレレビュー・内容・結末

世紀の終わり(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

作品紹介に『君の名前で僕を呼んで』を彷彿させると書いてあった為、直球なラブロマンスかと思いきや、美男子同士、海や森や街中の風景が美しいリゾート地での恋という共通点はあれど、パラレルワールドの様な時空を行き来する少し風変わりなロマンス映画だった。

ある本の、移動し続ける孤独を選択し続けたい、というような印象的な一遍の通り、登場人物達(若しくは主人公)は時空も境遇も行き来する。

時には独り身、時にはパートナーや子供もいる。パートナーも変われば、パートナーの性別も変わる。

考え方も変わる。家族が欲しかった人が独り身の自由を楽しんでいたり、家族が欲しくなかった人が、娘への愛を語る。

愛し合う二人の関係性も変わる。
20年振りに運命的に再開した相手は、次の瞬間、20年以上寄り添うパートナーになっている。
そうすると、もちろん、相手の接し方、二人の空気感も変わってくる。
恋の絶頂の後に、二人はマンネリ化している。


現実はこれと言ったゴールはないし、実際に人は決めつけることは出来ず、揺れ動く。時空もそうかもしれない。記憶が蘇ったり、気持ちも変化する。時間は過去と現在と未来、一方的で直線的と考えることが大半だけど、本当にそうか。
主人公の視点(主観)にたったとき、時間は逆戻りしたり、違う時空へと飛び越える。時空は円環的であるとと考えられる。
オチョの視点を通して観客は時空の旅をする。

どれが現実か、どれが過去か現実か未来か。今作にはその正解は無いし、求めることも無いと思った。
鑑賞後、観客各々が様々に思い巡ることができる良い作品だと思った。

今作のタイトルでもあり、登場人物が制作する映画のタイトルでもある『世紀の終わり』。これも哲学的な名前だけど、何を意味しているのだろうか。
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