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ファング 怒りのモンスターのYSKのレビュー・感想・評価

3.0
この作品の原題は『Prairie Dog』、つまり怒りのモンスターと言いながらも実はプレーリードッグだったのです
そんなプレーリードッグが、石油会社によって自然を破壊されたことで怒り変異し人を襲うようになる…というお話

ただひとつふたつ問題がありまして、まず石油会社は登場しません、次に雄大で美しい風光明媚な景色は映し出されるものの破壊されたようなシーンはどこにもなく、何者かに襲われたらしき人は登場するもののプレーリードッグが人を襲うシーンはなく、そもそも人を襲うシーンに登場してきたのはプレーリードッグではなく緑色をした謎の生き物です

そんな緑色の生き物も94分ある上映時間のうち最後の10分を切るまではその存在を一切明らかにすることがなく、それまで何をしているかというと小っちゃい男の子と小っちゃい女の子がモンスターを探してハイキングをするだけです
『はじめてのおつかい』ではありませんが、年端もいかない少年少女が手と手をとりあい励ましあいながら一つの目的のために力を合わせている姿を見ると感動の涙で前が見えなくなりますね、彼らが探しているのはモンスターですが

そしてクライマックス、とうとう彼らの前に姿を現した全身緑色をしたプレーリードッグ(と名乗るナニカ)、彼らを探し追いかけてきた両親の目の前で無残にも血祭りにあげる…というようなこともなく軽く一瞥して帰っていってエンディングへ突入です

うーん、軽々しくこういうことを言いたくはありませんが、かなりレベルが高いです
ある種ある意味ではマーク・ポロニア作品に肩を並べうるかもしれません
とりあえずプレーリードッグが人を襲う作品が見たい、もしくはプレーリードッグが人を襲う作品を見たことに価値を見出せる人にはオススメです
タイトル以外にプレーリードッグ感がないことを除けば完璧です
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