とむ

劇場版 SHIROBAKOのとむのレビュー・感想・評価

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
3.8
待ちに待ったSHIROBAKOの続編。
元のテレビアニメ版は何度も何度も見返すくらいとても大切に思ってる作品で、
当時大学生だった僕にとって仕事論を心に刻んでくれた大好きな作品でした。

特にアニメーション界の背景職人の重鎮・大倉さんの「元々この仕事がしたかった訳じゃなく、目の前のやりたいことをやり続けて気が付いたらここにいた」という旨の台詞や、
円さんと平岡さんが喧嘩した時の「お前みたいに不貞腐れた態度で仕事したってキャリアになんかならねぇ」という旨の台詞は働き始めた今でも胸に抱いてる大切な教訓です。



観た人みんなグッとくるであろうミュージカルのシーン。
ちょっと現実味のないフワフワした導入の足取りや、それまでアニメーションで宮森を助けて(?)くれたアニメーション内のキャラクターが一堂に会する展開、
エンゼル体操やアンデス山脈良いところはテレビ版観てた人なら誰しもがノックアウトされてしまう名シーン。


正直観る前は、
テレビアニメ版がこれ以上ないくらいに美しく着地した作品でもあるので、
その先を描くことになにか意味があるのか?とも思ってたんですけど、
冒頭で突きつけられるちょっと長いくらいの「現実」のシークエンスや、
初期衝動を忘れかけて、今を「こなす」のに精一杯な宮森や、
それでもやっぱりアニメーションが好きだから、そこからもがいてもがいて脱却しようとする面々の足掻きを見せられて、
アニメ版の「その先」を逃げることなくしっかり描いている、ある意味これは「ムサニ版のトイストーリー4」なんじゃないかなと僕は思いました。
(正直、トイストーリー4はあまり得意ではないんですけど。。)


でもね、僕は思うんですけど、
技術者や才能のあるクリエイターたちにとって一番幸せなことって、
俺に任せとけ!と胸を貸してくれる腕の良いプロデューサー(引っ張ってくれる人)と出会えることなんじゃないかなぁとおもったり。
だから、あれだけ真摯に仕事と向き合う宮森と仕事ができた人たちは幸せなんじゃないかなぁ。


今回の映画で個人的に教訓にしようと思った台詞は、
「事務所(≒会社)は気の利かない旦那くらいに思わないと。ただ、夫婦と違うのはその選択に自分自身が責任を持たないといけないということ」という台詞。


強いて苦言的なものを呈するとすれば、
新キャラを持て余してしまった感はちょっと否めないかなと思いました。


以下、良かったところ箇条書き。
・久乃木さん喋っとるやんけぇ!!
・俺たちの戦いはこれからだ!
・アニメを作りましょう
・アンデス山脈良いところ
・逆転裁判
・各々の成長が良くも悪くも思いもしない方向に進んでる?
・絵真の念押しシーン^_^
・4年っていう歳月の重み
・遠藤さんと下柳さんがタメ口になってるのめっちゃいいよね
・テレビアニメ版で擦れてた平岡が宮森と対比的に達観してたのが凄く良い
とむ

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