MasaichiYaguchi

ケアニン こころに咲く花のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ケアニン こころに咲く花(2020年製作の映画)
4.0
主演の戸塚純貴さんが介護福祉士の大森圭を演じるシリーズ第2作は、主人公の新たな介護現場での葛藤や挫折、そしてそれを乗り越えて成長する姿を通し、改めて介護とは、認知症とは、更に夫婦とは、人生とは何かを我々に見詰め直させてくれる。
大森圭の職場は以前の小規模介護施設から今度は大型の特別養護老人ホームに変わり、そのことによって仕事の方法も手順も違って戸惑い、ジレンマに陥る。
私は本作を通して介護の現場が、その施設の規模や種類によって“違い”が生まれること、夫々の施設に応じて、自立、要支援、要介護、認知症の有無、認知症の重度によって入居条件が変わることを初めて知った。
圭の新たな現場は重度の認知症を患うお年寄りが多いのだが、多くの利用者に対処する為、効率やリスク管理が優先され、彼が小規模で実践してきた一人一人と向き合う介護がそぐわなくなってしまう。
そして本作でモチーフとなる認知症だが、これにも様々な種類があることを知り、目から鱗が落ちる思いがした。
圭は上司や施設長から叱咤激励され、手探りで大型の特別養護老人ホームでの介護をしていくのだが、そんな中、新たに入居した認知症の木下美重子を担当することになる。
担当した美重子には気難しい夫・達郎や、世間体を気にする保険外交員の娘・由香がいて、圭は美重子以上にこの2人に手こずることになる。
それでも圭の熱き介護士魂は変わらない。
やれないことではなく、やれることを見出だして介護する圭の姿勢は、衝突を起こしながらも周囲、同僚や上司、利用者の身内を含め、その“熱さ”を伝播していく。
美重子を担当することで木下夫妻のことまで知った圭は、この夫妻の為、ある“イベント”をしようと奔走し始める。
終盤で華やかに繰り広げられる“イベント”を見ていると、今まで抑えていた感情が溢れ出して胸が一杯になってしまった。
介護の現場を通して、人が生きること、愛することの大切さが温もりと共に伝わって来ます。