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“樹木希林”を生きるのarakanのレビュー・感想・評価

“樹木希林”を生きる(2019年製作の映画)
4.5
NHKスペシャル版はディレクションの拙さばかりが目について怒りしか湧かなかったけど、映画版はドキュメンタリーの本質について深く考えさせてくれる刺激的な問題作になっていると感じた。
ディレクターが自らの欠点や稚拙な部分を露悪的なまでに曝け出しているため、中盤では樹木希林のことではなく自分ことが知りたいのではないかと感じさせられたのは事実。しかし、終盤に入って樹木希林から突きつけられる強烈なダメ出し、その厳しい説教の言葉の中には、樹木希林が人生の中で大切にしてきた信念が結晶となっていたように思う。
それはつまり、「良い仕事を成し遂げるためには、自分自身の人生をちゃんと生きることが何よりも大切なのだ」ということだと受け止めた。
撮る側と撮られる側がぶつかり合い、お互いの内面を曝け出し合うことで、何かを表現する。それがドキュメンタリーの本質だとするならば、この作品は大きな成功を収めたのだと思う。
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