ヨミ

マトリックス レザレクションズのヨミのレビュー・感想・評価

3.7
マトリックスを観に行ったらシンエヴァでした。

バイナリを超えた場所へ行く戦い。

『マトリックス』トリロジーを履修したとき、強烈に印象に残ったのバイナリーが強く意識されていることだった。赤いピルと青いピル。遅刻を治すかクビになるか。そして人間か機械か。

『レザレクションズ』でのアイオは既に第3の道を歩んでいる。ひとと機械の共生の道。そしてそれを果たしたのが(ほぼサブキャラでしかなかった)ナイオビであった。
ネオは再度問われる。救世主か否か。最初から否定し続けたネオだが、ここではずっとへっぴり腰のままだ。『リローデッド』以降のスーパーカンフーマスター・ネオの見る影もない。肝心なところでネオは飛ぶことができない。では飛ぶのは誰か? ネオが救世主かどうかという二分を超えて、トリニティーの姿が現れる。
90s-00sの傑作を超えるジェンダー先進性を持ちながら、最後に残るバイナリーは男か女か、である。「ノンバイナリー」という言葉は最早常識になりつつあるが、この作品を貫く「メタ」要素はやはラナ・ウォシャウスキーの存在であろう。ウォシャウスキー姉妹こそが、最もバイナリーに直面した存在である。それこそがバイナリーの超越を意味するようにも見える(なにしろ、本作はあまりにも多くの「メタ」要素と時間経過、また現代を意識させる修辞に彩られている)
ヨミ

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