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マトリックス レザレクションズのsomaddesignのレビュー・感想・評価

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1年を締めくくる映画が今年イチもやもやする映画っていう。
とはいえ過去3作(特にリローテッド)の難解さに比べればだいぶ明快。
それでも世界観から、キャラクターの関係性と思惑が複雑すぎて一度見ただけじゃストーリーを追うだけで精一杯。「キングスマン」最新作と同じく2回ずつ見てみた。

超蛇足な続編を覚悟してたせいか、思いの外面白かった。異様に難解な世界観も「ああ、マトリックス見てる」と感じられたし。
冒頭にババーンと派手な展開があって、以降序盤〜中盤は登場人物が喋ってばかりで、最後にド派手な山場が来るのもマトリックスっぽい。とにかくネオ以外がよく喋る映画のイメージ。また喋る内容がイチイチ観念的で、油断してるとすぐ置いてかれちゃうか眠くなるのもシリーズっぽくて面白かった(褒めてます)

好きで褒めたい部分と、相変わらず冗長で退屈に感じる部分が同じで表裏一体なので、なんとも評価が難しい。手放しで面白かったのは、クライマックスのバイクシーンくらいかしら。そもそも自分がちゃんと理解できたか、観れば観るほど、人の考察を知れば知るほど自信がなくなっちゃう。

気になるキャストは、新スミスを演じたジョナサン・グロフ。Netflix「マインドハンター」の主人公で狂気に翻弄されるFBI捜査官として俺にお馴染み。「アナ雪」の山男の青年クリストフ役でも馴染み深い。線の細い柔和な雰囲気を転じて、腹黒な信頼の置けない人物に見せてるのサイコー。


それにしても序盤の続編を作らされる言い訳とグチ必要だったか?
そんな嫌々顔で続編語られましても、どんな気持ちで見ればいいのよ。
劇中語られる通り、ウォシャウスキー姉妹抜きで続編作るのも可能なんだろう。勝手に続編作られちゃう位なら自分達でってことなんだろうけど、観客からすると「そんなこと聞かされましても……。」
過去作が制作者の意図しない政治的意味づけをされちゃったり、利用されることについてキチンと反論する意味もあるんだろう。この世界を見えない大きな陰謀に操られたグレーな世界って描いてた過去作から、作り物でも今いる世界の美しさ・生の素晴らしさを最後あのキャラに言わせる重み。

旧作の「バレットタイム(銃弾を避けるやつ)」に代表される革新的なアクションが全くなく、むしろ自嘲気味に扱ってみせる。難解な世界観を冗長で退屈な会話で説明するシーンばかりが増えた。VFXゴリゴリから自然光や生身のアクションに変わったのは楽しいし、完全にコントロールできる体勢から不確定性をも許容する見せ方だ。だけどそれって他のアクション映画で普通に見られちゃうわけで……。安易な斬新さに寄らずに、物語に必要な画面作りに集中したってことかも知れないけどなあ💧


気がついた小ネタ👉
トマス・アンダーソンが務めるゲーム会社の名前が「デウス・マキナ社」。ラテン語の「神様の機械」て意味で、転じて「どんでん返し」。カフェの名前が「シミュレート」だったり、あのアナリストのネーミングセンスは自分の今後を予測してるのか、趣味の悪い悪戯のつもりだったのか。
あとバックスの船「ムネーモシュネー号」。ギリシャ神話の記憶の神様を冠して、思い出が絆となり人のつながりを作るって暗示かも。
他にも探せば山ほどあるだろうけど、キリがないのでパッと気づけた範囲でいいや。


余談)
エンドロール見てて「クリスティーナ・リッチ!? え、出てた?」と思って、慌てて調べた。デウス・マキナ社で新ゲームのプレゼンしてたクルエラみたいな女性!今あんな感じなのか∑(゚Д゚) 気づけば「アダムス・ファミリー」から30年も経ってる。

トリニティーの夫のチャドって、「ジョン・ウィック」シリーズのチャド・スタエルスキ監督やないか! 今作でもスタントコーディネートや振付もしてるそうだけど、思わぬ形で堂々出演。カップケーキらしき何かをバリバリ食べる姿が豪快。なんだか分からんが美味そうだ。チャド・スタエルスキといえば「マトリックス」でキアヌ・リーヴスのスタントマンでも合ったわけで、謂わば擬似ネオとトリニティーのありえたかもしれない関係でもあるんだな。

他にも「ヴェノム」の撮影場所が近かったよしみで、トム・ハーディもカメオ出演してるらしいが見つけられず(カットされてる可能性もある)。群衆シーンだとしたら一生見つけられないと思う。


81・82本目
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