pika

マトリックス レザレクションズのpikaのレビュー・感想・評価

4.5
大号泣。嗚咽を抑えるのに必死。ハンカチびしょ濡れレベルで泣いた。
賛否両論だろうとも、他人の感想などどうでもいいと思えるくらい刺さった。ウォシャウスキー作品は偏愛しているくらいツボなので、いつものことかもしれないが、それでも期待もしなかったしここまで泣くとは自分でも驚いた。

紛れもない3部作の続編であり、18年後の続編であることにまず感心した。昨今多々見られる、往年のヒット作の続編、リブート、リメイクブームを逆手に取ったと言ったら言いすぎかもしれないが、1作目と同様に「この目の前にある世界は現実か幻想か」という哲学的な問いを進化した形で提示してきたことに興奮した。どんなに使い古されても氾濫しまくっても、メタフィクションが大好物という好みの部分も強いだろうけど、延々と(ダラダラしていても)突きつけられてツボにガンガン入った。
終始オロオロ困惑し続けるネオは、まさに1作目と同じで、自信満々なネオより好きだったし、なにより常に自信満々であるはずのトリニティ、彼女が出てきた瞬間に涙腺崩壊。エンドロールで思い出し泣きするくらいグッときた。
見たあとにラナ・ウォシャウスキーのインタビューを読んだり制作の裏側を軽く調べたことで、なぜそこまで感動してしまったのか、後から理由が見えてきたんだけど、見ている間は何故こんなに胸に刺さって涙がこみ上げてくるのかわからず、そのわからなさも楽しくて、頭で考えるより先に感情にダイレクトに届く快感があった。
理解云々の前に魅力に惹かれ、理解できないことを理解するための最初のステップを踏む興奮、何度も考え、触れることで理解が進む刺激、年をとるごとにそういうものは少しずつ減ってしまうものだけど、往年の名作の続編で出会えた感動がまたひとしおだった。
もう一回見るには躊躇する間延び感はウォシャウスキー作品のあるあるなので、見返すのはまだ先かも知れないが笑、大好きなウォシャウスキー作品がまた一つ増えたことが嬉しい。できるならばリリーにも参加して欲しかったと思わずにはいられないが、また未来の楽しみにしよう。
不満はエンディングテーマがレイジじゃなくてカバーだったことくらい。「Wake up」をもう一回使いたいけどオリジナルじゃな、ってのはわかるけどだったらレイジ本人の新曲とか他曲にして欲しかった。あそこだけテンション下がった。

ありがとう、ウォシャウスキー。何十年経っても期待を裏切らないでいてくれて、存在に感謝します。
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