げんぐ

地獄の黙示録 ファイナル・カットのげんぐのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ファイナル版は初視聴。

オリジナルを学生の頃に観て、ただ難解な映画という印象しか残ってなかったのだが、このファイナル版は自分が大人になったせいか、それとも尺やカットが見直されたせいか解らないが、そこまで難解な作品ではなかった。

前半で画かれるワーグナーの曲に乗ってのヘリボーン作戦は戦場の高揚感や奇行として派手に画かれているが、そこから川を遡っていく物語はウィラードの葛藤と戦争のが人の内面を深く抉っていく様が画かれている。
ベトナム戦争映画の代表作として挙げられる本作だが、物語の進行と共に、戦争の現実と軍人のあり様に葛藤する、人の内面を捉えている作品だと感じた。
入植者としてとどまるフランス人との会話はおそらくオリジナルには無かったシーンだと思うが(間違ってたらごめんなさい)、このフランス人との会話でベトナム戦争の意義を見失い、標的であるカーツ大佐に惹かれつつある主人公の心の天秤が傾く様がよりわかり易くなってたのでゃないかと思う。
戦争以外に現実味を持てない主人公が戦地に戻って、戦争で現実から逃避する人々を見ていく。明確な反戦を作品で語っている訳では無いが、深く静かにベトナム戦争を否定している。

邦題の『地獄の黙示録』というのが適切な邦題なのかと言われると、自分はやはりちょっと違うのかな?と感じる。当時のプロモーションの事情など様々な要因で決定されたものではあると思うが、作品を観た後率直な感想としては原題の『Apocalypse now』もしくは直訳での『現実の黙示録』の方が適切なのではないか。

折を見て特別完全版も視聴してみようと思う。
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