ナツミオ

地獄の黙示録 ファイナル・カットのナツミオのレビュー・感想・評価

4.0
NHK-BSPプレミアムシネマ録画鑑賞
ファイナルカット版

 “地獄だ… 地獄の恐怖だ…”

大昔、通常版は観たが当時、難解で判りにくかった記憶。
今回、いくつものバージョンがある中で最後のファイナルカット版を鑑賞。
長めだが、映像・音響もクリアで当時よりも楽しめた。ベトナムを舞台にした戦争叙事詩。

「ゴッドファーザー」シリーズの巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が1979年に発表した戦争映画の衝撃作「地獄の黙示録」。2019年に生まれた、その“最終編集バージョン”。

受賞歴
・第32回カンヌ国際映画祭
パルムドール・国際批評家連盟賞受賞
・第52回アカデミー賞
撮影賞:ヴィットリオ・ストラーロ
音響賞:ウォルター・マーチ/マーク・バーガー/リチャード・ベグス/ナット・ボクサー受賞
(作品賞/助演男優賞/監督賞/脚色賞/美術賞/編集賞でノミネート)
・第37回ゴールデングローブ賞
監督賞:フランシス・フォード・コッポラ
助演男優賞:ロバート・デュヴァル
作曲賞:カーマイン・コッポラ、フランシス・フォード・コッポラ受賞

原題 『Apocalypse Now Final Cut』

2019年米作品182分
監督・製作 フランシス・フォード・コッポラ
製作 フレッド・ルース
脚本 ジョン・ミリアス フランシス・フォード・コッポラ
原作 ジョゼフ・コンラッド 『闇の奥』
撮影 ヴィットリオ・ストラーロ
音楽 カーマイン・コッポラ フランシス・フォード・コッポラ
出演 マーロン・ブランド マーティン・シーン ロバート・デュヴァル デニス・ホッパー フレデリック・フォレスト サム・ボトムズ ローレンス・フィッシュバーン ハリソン・フォード 

日本語字幕 戸田奈津子

(WOWOW番組内容より)
1969年、ベトナム戦争後期のサイゴン。米陸軍のウィラード大尉(シーン)は米軍上層部から、カンボジアでの特殊任務に赴いたまま、ジャングルの奥地で自らの王国を築き上げ、そこに君臨しているカーツ大佐(ブランド)を抹殺せよという指令を受ける。ウィラードは、クリーン(フィッシュバーン)、ランス(ボトムス)、シェフ(フォレスト)、チーフ(ホール)ら若い兵士4人を従え、河川哨戒艇(PBR)に乗って奥地へ川を遡行する。その途中、彼らは戦場の狂気と愚行ぶりを端的に示したさまざまな出来事や人々と遭遇していく……。

(WOWOW解説より)
「ゴッドファーザー」シリーズのコッポラ監督が手掛け、第32回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝くと同時に賛否両論を呼んだ「地獄の黙示録」。
ベトナム戦争が題材で、戦争映画として迫力満点だが、撮影当時のコッポラの混乱を受けて難解な作品となったとされる。2001年、初公開版より約30分長い“特別完全版”が作られたが、コッポラ監督が初公開から40年後、映像のリマスターなどを施して再編集した“最終版”が本作。“特別完全版”から兵士たちがプレイメイトたちと密接になる場面などが削除された。

製作期間は6週間の予定が結果16ヶ月‼️
フィリピンで行われ数々のアクシデント(台風でセット全壊、天候、スタッフやキャストの体調不良)やコッポラの完璧主義で製作は遅れに遅れ費用は高騰したが、公開後全世界で大ヒットを記録し、巨額の制作費を無事回収することが出来たそう。

↓ 以下ネタバレ含む
特に印象に残るのは、
・前半の戦闘シーンは迫力ある。
特にベトコン村へのヘリボーン攻撃。
一瞬見つけて嬉しいマガジン・トントンのシーン。
そして騎兵部隊キルゴア中佐(デュバル)の癖が強すぎる〜‼️

・後半のカーツ王国から暗いシーンが多い。ストラーロの陰影の濃い撮影。
カーツ(ブランド)が登場するシーンは、『第三の男』のオーソン・ウェルズの登場シーンを思わせる。

・音楽の使い方、
ドアーズ”ジ・エンド“
ストーンズ“サティスファクション”
そしてワグナーの交響曲。
麻薬とロックに溺れる、若い兵士たち。

昔は気づかなかった脇役たち。
ローレンス・フィシュバーンは、PBRの乗員クリーン役。細くチンピラ風情で直ぐには分からず。戦死した後にも流れ続ける母親からのボイス・メッセージの皮肉。

ウィラード(シーン)が極秘指令を受けるシーンでハリソン・フォードも。
似てるなと思ったがやっぱりハリソン。若すぎて存在感は希薄。

お気に入りスコット・グレンは2回目にやっと発見!カーツ帝国に寝返ったコルビー大尉役。若く髭と顔の迷彩メイクでわかりにくい。

劇場公開時CMや有名なシーンは結構覚えていた🎵
・キルゴア中佐(デュバル)率いる第1騎兵師団がベトコン村攻撃で流す、
ワグナー”ワルキューレの騎行“

水上を低空で飛ぶヘリ編隊を前から捉えた映像とワグナーのシーンは強烈に刷り込まれていた♪

そして名セリフ、
 ”朝のナパーム弾の臭いは格別だ“

・小さなPBRで河を遡りながら出会う数々のエピソード。
特に、現地民の小舟を臨検中に始まるアクシデント後、重傷の女性を病院に連れて行こうとする矛盾とウィラードの射殺!

・当時人気だった男性誌“プレイボーイ”誌のプレイメイトたちがヘリに乗って現れて兵士たちの狂乱で迎えられるシーン。盛り上がったら乱入するよね〜
登場する彼女らは、本物だそう⁈

・カーツ帝国に着いたウィラードらが小舟に乗ったカーツの民たちに取り囲まれる。
白塗りの民の異様さ。

・カーツが顔に描くメイク?迷彩?は、神の姿を意識したのだろうか?
歌舞伎役者のメイクにも見え、仏像の様にも見える。

・ジャケ写でもお馴染み。
ウィラードがカーツ暗殺に赴き沼からゆっくり顔を出す異様なシーン。
水がサラッとしていない、トロッとした水の表現。

・通常版ではカットされていたシーン。
ウィラードたちがフランス人ユベール・ド・マレ(クリスチャン・マルカン)のフランス農園に招かれる。

 “君らアメリカ人は…
  何のために戦っている?
  歴史上、稀に見る無意味な戦いだ!“

ユベールの家族、未亡人のロクサンヌ(オーロール・クレマン)とウィラードとのシーンはサイドストーリー。

ベトナム戦争以前のインドシナ紛争、アルジェリアの戦いでフランスも経験した無意味な戦い。大国の欺瞞、エゴは繰り返される。

完璧主義者のコッポラ監督が持てる力を振り絞り完成した作品。
そしてその40年後のファイナル・カット版は期待以上の作品だった‼️



・AFI『アメリカ映画ベスト100』(1998)
第28位に選出。
・『アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)』(2007)第30位に選出。
・『アメリカ映画の名セリフベスト100』第12位に選出。
”朝のナパーム弾の臭いは格別だ“
(I love the smell of napalm, in the morning.)キルゴア中佐の台詞

・2000年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録。



【忘備録】ネタバレ少しあり
(キャスト)
・ウォルター・E・カーツ大佐
Colonel_Kurtz
- (演) マーロン・ブランド
王国を支配する元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)大佐

・ビル・キルゴア中佐 
Lt._Colone_Kilgore
- (演) ロバート・デュヴァル
第1騎兵師団(ヘリボーン)指揮官
サーフィンをする為にベトコン村を攻撃する。

・ベンジャミン・L・ウィラード大尉
Captain_Willard
- (演) マーティン・シーン
カーツ暗殺の極秘任務を帯びた陸軍大尉

・ジェイ・“シェフ”・ヒックス
- (演) フレデリック・フォレスト
PBR乗員

・ランス・B・ジョンソン Lance
- (演) サム・ボトムズ
PBR艇長

・タイロン・“クリーン”・ミラー Clean
- (演) ローレンス・フィッシュバーン
PBR乗員

・ジョージ・“チーフ”・フィリップス
Chef
- (演) アルバート・ホール
PBR乗員

・ルーカス大佐 Colonel
- (演) ハリソン・フォード
情報部大佐

・報道写真家 Photo_Journalist
- (演) デニス・ホッパー
カーツに心酔する写真家

・コーマン将軍 General
- (演) G・D・スプラドリン
情報部将軍。
カーツ大佐暗殺を指示。

・CIAエージェント Civilian
- (演) ジェリー・ジーズマー

・コルビー大尉 Colby
- (演) スコット・グレン

・マイク Mike_from_San_Diego
- (演) ケリー・ロッサル

・負傷兵 Injured_Soldier
- (演) ロン・マックイーン

・補給係の軍曹
- (演) トム・メイソン

・キャリー
- (演) シンシア・ウッド

・テリー
- (演) コリーン・キャンプ

・サンドラ
- (演) リンダ・カーペンター

・ローチ
- (演) ハーブ・ライス

・ジョニー
- (演) ジェリー・ロス

・ユベール・ド・マレ
- (演) クリスチャン・マルカン
仏人農園の長
特別完全版とファイナル・カットにのみ登場。

・ロクサンヌ・サロー
- (演) オーロール・クレマン
ユベールの家族
特別完全版とファイナル・カットにのみ登場。

・パイロット
- (演) R・リー・アーメイ

・Sergeant_Mp
- (演) ボー・バイヤーズ

・Kilgore's_Gunner
- (演) ジェームズ・キーン


【主な受賞】
・1979年度(第52回)アカデミー賞
撮影賞:ヴィットリオ・ストラーロ
音響賞:ウォルター・マーチ/マーク・バーガー/リチャード・ベグス/ナット・ボクサー/
(作品賞/助演男優賞/監督賞/脚色賞/美術賞/編集賞でノミネート)

・1979年度(第37回)ゴールデングローブ賞
監督賞:フランシス・フォード・コッポラ
助演男優賞:ロバート・デュヴァル
作曲賞:カーマイン・コッポラ、フランシス・フォード・コッポラ

・1979年度(第14回)全米映画批評家協会賞
助演男優賞:フレデリック・フォレスト(『ローズ』に対しても)

・1979年度(第33回)英国アカデミー賞
監督賞:フランシス・フォード・コッポラ
助演男優賞:ロバート・デュヴァル

・1979年度(第32回)カンヌ国際映画祭
パルム・ドール:フランシス・フォード・コッポラ
国際映画批評家連盟賞:フランシス・フォード・コッポラ
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