うにたべたい

透明人間現るのうにたべたいのレビュー・感想・評価

透明人間現る(1949年製作の映画)
3.2
透明人間を題材にした特撮映画。
特撮監督は円谷英二作品。

この頃、円谷英二は、戦意高揚させる映画作成に加担したとしてGHQから公職追放が命じられ、東宝から退職していました。
本作はフリーになった円谷英二に大映が協力を仰ぐ形で作られたという経緯があり、本作ともう一作、"幽霊列車"という作品は、大映が円谷英二復帰作として準備したと言われています。
本作は透明人間の表現が話題となりヒット作となりましたが、円谷英二氏はできに不満があったらしく、後年に東宝で再度、透明人間に挑戦しています。

東宝版透明人間で描かれた正義の透明人間とは違い、本作の透明人間は宝石を狙う犯罪者として描かれています。
本作作成時に話題になっていた、H.G.ウェルズ原作の洋画・透明人間を参考にしていて、包帯ぐるぐる巻の、ステレオタイプな透明人間が見られるのが特徴です。
頭の先から包帯を取るとその下は何も無く、「ふはははは!」という笑い声をあげて暴れ回る様は我々のイメージのままの透明人間でした。
ただ、透明人間って、特に腕力が優れている訳じゃなくて、見えないだけでただの人なんだよなーと思うと、あまり隠密せずに「透明人間が来たぞー」とばかりに暴れるのはいかがなものかと思いました。

ある研究所の中里博士が、人での臨床実験は未実施とはいえ、透明薬の開発に成功する。
出資者の薬品会社社長の河辺は、博士からこれを聞くが、ある晩、博士が失踪、その助手の1人も、日を置かず失踪してしまう。
そして、透明人間による事件が発生するという展開です。
ちなみに本作の透明人間は、悪事に手を染めますが、透明になって女湯にダッシュするようなことはしないです。
透明人間になったのは結構若い男なのに、透明になって排水溝に横たわる事もしないなんて、不自然極まりないですな。

モノクロの古い映画ですが、ストーリーはしっかりしていて見応えがありました。
透明人間の正体、消えた博士と助手の謎、狙われた宝石を巡る展開は、最後まで読めないところがあり楽しめました。
ただ、モノクロということもあって、登場人物の見分けがつかないことがあり、途中退屈を感じる場面もありました。
特撮の神様・円谷英二を語る上では外せない作品なので、話のネタとして見てみるのはありだと思います。