ひこくろ

スーパーミキンコリニスタのひこくろのレビュー・感想・評価

スーパーミキンコリニスタ(2019年製作の映画)
4.3
あまりに痛々しい女の子の姿が、とんでもなくおかしくて、また胸にグッともくる。
まるでいっぱしの女優のように振る舞い、演劇論を語るのに、やっているのはエキストラの仕事ばかり。
先輩風を吹かせて後輩に奢ろうとするも、金がなくて、逆に奢ってもらったりもしてしまう。
とにかくひたすらダメダメなミキの様子は、悲しいぐらいにおかしい。

ミキは、よく言えば素直で真っ直ぐ。悪く言えば、バカで自分勝手。
自分を客観的に見られないから、やることなすことが変な方向に向かう。
色男の口車に乗せられ、風俗嬢になりそうになったり、女優とは関係のない地下アイドルのような活動に精を出したり。
それでも、彼女の明るくまっすぐな姿勢だけは全然変わらない。

そして、その姿勢が次第にじわじわと心に沁みてくる。
オーディションで監督にこき下ろされ、自分の気持ちを爆発させる時。
後輩に先に役を奪われ、現場でエキストラとして共演しなくてはならなくなった時。
ダメダメなのは何も変わらないのに、ふと彼女を応援したい気持ちになっている。

何かを夢見て必死な人間は、どんなにみじめで悲惨で格好悪くても、それでも輝いているんだと思わされる。
希望はそこにはないのかもしれない。夢は夢で終わるのかもしれない。
でも、そう生きる彼女は、最高に魅力的だった。
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