地球上の動物たちを取材した奇蹟的な映像集『OUR PLANET』が素晴らしいので、おのずとそのメイキングも観たくなった。
数分の映像のために数カ月の泊まり込み。特殊なカメラの設置や、ヘリでの危険をともなう空撮。ドローンのおかげで、だいぶ撮影の幅は広がったようだ。
ロシアの海岸に撮影用の小屋を建てて寝泊まりしていた取材クルーが、小屋の周りをセイウチの大群に囲まれてしまった場面は驚き。ドアからセイウチが中をのぞいてくるのがかわいい。しばらくして、「セイウチたちが小屋の周りにスペースを作ってくれたので･･･」と、本格的な取材がはじまるが、明らかに小屋周辺だけセイウチがよけているので、絶対なんか追い払うようなことしただろ･･･と思って観た。
本篇もそうだけれど、地球温暖化で北極の氷が減少し、生活スペースのなくなった動物たちが無謀な遠泳を余儀なくされているという実状が、しばしば強調されている。環境保護への動機付けとしては、分かりやすく、訴求力がある。氷がなく、かぎられた陸地もギュウギュウ詰めで、追いやられるように切り立った崖に登ったセイウチが、降りることはできず、飛び降りて、次々死んでいく場面は、胸が痛む。海岸には数百頭のセイウチの死骸が並ぶ。この後味の悪い映像をあえて最後にもってきたのも、制作者の明確な意思表示だろう。作り手のそういう気概も含めて、観る価値のある映像。
