京宮大学だの近衛寮だのと名前を変えて架空の話のようになってますが、私は学生時代を京都で過ごしたので、これは京都大学の吉田寮のことだとすぐにわかった。これは実話をベースにした話だ。建造されて100年以上もたつ日本一古い学生寮を取り壊し、寮生たちに立ち退きをさせることにした大学当局と、それに抗議した学生たちのお話。
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大学は、単に教育機関というだけでなく、高度な自治権を認められており政治権力に屈しない自由な言論を発信する人がいる所、民主主義国家にとって大切な役割を果たす機関という側面もある。その大学が、およそ民主的とは真逆のやり方で、力の弱い学生たちに当たるというのは、ちょっと納得いかない嫌～な気分になる（まるで、沖縄の辺野古基地の問題に対応する日本政府のようだ）。こんなにこじれる前にやれることはなかったのか？
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吉田キャンパスの一番南、東大路通りに面した門から入る敷地には奥まで続く銀杏並木があって今頃の季節は美しかった。古色然とした板塀の木造建物が集まっていたこの一角は、40年も前、既に異次元世界のようだった。並木道の左側には吉田食堂（平屋建）、右側には学生集会所（2階建）、そして正面には吉田寮の玄関。吉田食堂は清潔感ゼロ、とても貧しい感じの定食がだされたので、タダ同然のびっくりするほどの安さでもここを利用する学生は私の周りにはほとんどいなかった。学生集会所は合唱団、ギター部、オーケストラなどいろいろな部活の練習場となっていて、私も集会所には結構入りびたっていた。だから近くにはよく来たが、吉田寮には入ったことはなかった。寮費はタダ同然の安さで、留年○○年の猛者たちが大勢暮らしていて、毎晩酒飲んでタバコふかして麻雀やってる物凄い所だという噂を素直に信じて恐れていたから。今となっては懐かしい・・・
