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ザ・レポートのKotaのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
3.9
“真実でない嘘を言った。嘘を言ったという真実が分かった。”

同時多発テロの後、上院議員ファインスタイン(アネット・ベニング)の元で調査員として働くダニエル・J・ジョーンズ(アダム・ドライバー)はCIAがテロリストの容疑者を拷問していたという疑念を抱き調査を始め、やがて大きな権力と対峙することになる。

9.11から18年が経ち、数年前までは“ゼロ・ダーク・サーティ”や“ものすごくうるさくてありえないほど近い”などの被害者目線の作品が多かった中、近年は”バイス”や“記者たち”などの映画により様々な視点で次々と明らかにされるアメリカ政府の闇。この映画もWikipediaにも載っていないダニエルの5年間に及ぶ政府との闘いを描いている。当時は絶対悪であったテロが、時代を超えて多角的に表現されるアメリカの文化にはいつも驚かされる。

時系列がダニエルによる調査と、拷問当時の二軸で進むが、シーンの明度を変えることで混乱せずに見ることができる。ザ・(トーチャー)レポートというタイトルのトーチャー/拷問の部分が塗りつぶされて隠蔽されているというセンスが凄い。止まらないアダム・ドライバーの魅力と、映画を観なければ一生知らなかったであろう事実。Amazonオリジナルとして知らない間に世に出ているというのが本当に勿体のないところ。
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