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Melanie Martinez: K-12のfleurのレビュー・感想・評価

Melanie Martinez: K-12(2019年製作の映画)
5.0
これはメラニー・マルティネスが送る現代のミュージカル映画。ポップソングを基にキッチュでキュートに物語が進んでいく。すべてがかわいくて、パステルカラーにリボンにフリルにピンク🎀☁️かわいいが詰まったおもちゃ箱。そんなかわいい可愛いドールハウスのようなK-12寄宿学校のなかでは、これから社会に出るためにあらゆる社会規範が教え込まれている。風変わりなことは許されない、素直に従う操り人形こそが正解、誰も私たち(生徒たち)のことを真剣に考えていない大人たち、刷り込まれる理想のボディタイプ、好きになれない自分の体、投げつけられるボディシェイミング、"子ども"である未成年に手を出すようなグロテスクな大人etc...こんなクソみたいなことを教え込まれているなんて、こんな状況からみんな目を覚まして!wake up!、と叫ぶクライベイビー。
学生時代はとくに学校が社会のすべてになりがちだから、サバイブするためにおかしいことにも気がつけずに取り込まれていってしまうけれど、これって学校だけの話でなくて社会に出てからも同じ。そういう全ての悪しきものを泡の中に閉じ込めて、そのまま飛ばしてパッと吹き消せば、それでめでたしめでたし。あとはずっと待ち望んでいたパラダイスに向かうだけ。なんだけど、本当にそうなのだろうか?それですべてきれいに解決するのだろうか?本当はそんな魔法のようなものも超能力もない、ってクライベイビーは知っているんじゃないかな。だから、彼女はきっと地獄みたいな現実でも、そこに留まることを選んだのだろう。クライベイビーと一緒ならみんな立ち向かえるから。
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