けーすけ

ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画のけーすけのレビュー・感想・評価

3.6
2010年、インド・ベンガルール(バンガロール)。インドにおける宇宙事業の命運をかけたロケットの打上げが失敗し、責任者のラケーシュとタラは火星探査プロジェクトを行うように命じられた。誰もが火星探査など不可能と考えている状況で、ラケーシュを退職に追い込むためのようなものであったが、ラケーシュとタラは諦めずに斬新なアイデアで仲間とともに実現へ向けて動き始める。ところが計画には次々に困難が立ちはだかり・・・







宇宙、ロケット、火星探査というワードに心がときめかない訳がない!冒頭の巨大なGSLVロケットの打ち上げシーンの迫力で目と心を鷲掴み!!まあ、これは失敗に終わってしまうのですが…。


実際の話を基にしているという事で、女性が出てくるロケットや宇宙開発映画というと黒人差別や女性差別を描いた『ドリーム』を彷彿とさせますが、本作では明るいタッチで困難な計画に挑む人々が映し出されていました。

宇宙とか探査計画っていうと難しそうなイメージもあるかもですが、本作では技術的な部分がかなり分かりやすく説明されるので安心して観られると思います。(ただ、少し詳しい人が見ると「それでほんとに大丈夫なの?」と感じる部分はあるかもですが)




タラは旦那と二人の子供達と暮らす一見普通の主婦だけど、ISRO(インド宇宙研究機関)で働く才女。ロケット打ち上げ失敗の責任を感じ、なんとか火星探査の実現に向けて奮闘します。

新しく立ち上げたプロジェクトチームは本部からの嫌がらせでアサインされたメンバーも若手の未経験者ばかり。さらには予算も下りず一時はチーム解散となるという憂き目にも。


そんな様々な逆境や困難にもタラは諦めず、「火星まで行けるロケットの燃料が足りない?」といった難題にも、料理をしていた時に思いついた「ガス代節約方法で行けるで!」とか、予算が足りなくなった時にも「あっちの計画が延期になってるし、その機材・資材使わせてや!」とひらめきとアイデアで乗り越えていく姿に好感でした。


また、ラケーシュとタラの元には寄せ集め人材として6人の男女がやってくるのですが、みんな非凡な才能を持ってはいるものの、この計画がうまくいくとは考えていないようで本気で取り組もうと思っていない状態。
そんなみんなの気持ちをタラが変えようとする場面も、ベタな描写ながら印象的な部分でした。

因みにチームメンバーは女性が多いのですが、めちゃめちゃ美人揃いです!超眼福だったのでこれだけでも映画館で観る価値あるかと思います。



特に印象に残ったシーンとして、ある人物が「これは不可能だ」って言ってしまい、それに対し責任者のラケーシュが激怒するという場面があるのですが、その時のセリフやその後の展開は働く者としても、不可能と自分で決めて終わらせたらダメだな、、、と刺さった部分でした。諦めたらそこで試合終了ですね。


ただ「1日7時間の労働では計画遂行に足りないから1日15時間働くぞ」といった描写は少し怖く感じたところ。2010年頃のインド事情も今のインド事情も知らないけど、労働環境って国によって違うのかなあ。



困難なプロジェクトに立ち向かうという部分がメインで描かれていますが、タラの家族に関するエピソードも挟み込んであり、その辺りも面白かったです(タラの旦那が普段何をしているのか全然分からなかったけど笑)。
インド映画だけど主題としては真面目な部類だし、いきなり踊り出す事は無いかな、と思ってましたが良い感じに裏切られました。短いながらも家族の話としてステキに描かれ踊っているので注目ポイントです。




主要メンバーが8人ほどで「精鋭とはいえ、打ち上げにそんな少人数のプロジェクトメンバーで挑めるのか?」とか、ロケットの打ち上げでもそれまで超悪天候で中止にしたのに急遽再開するとか、色々とツッコミどころはあったり、探査機打ち上げ後の効果音バリバリな宇宙航行描写に少し“ダレ”を感じましたが、全体的として軽く楽しめる内容に仕上がっていたと思います。


諦めずに何かを成し遂げるという、爽やかな感動をもらえる映画でした。



2020/12/25(金) cocoの特別オンライン試写で鑑賞。https://coco.to/
[2020-186]
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