明月

長沙里9.15の明月のネタバレレビュー・内容・結末

長沙里9.15(2019年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

朝鮮戦争での実話。
戦争の無意味さが、胸にせまる。
どんな正当性もない。
同じ民族同士で争わなければならなかったことの無念さはいかばかりか。

北のロシアが支援した人民軍の勢いに押され、後退を余儀なくされた南のアメリカのマッカーサーは、仁川上陸作戦のため、陽動作戦を決める。そのうちの長沙里での戦闘の実話をベースにしている。

ろくな装備も銃弾もなく、食料も確保されず、送り込まれたのはたった2週間の訓練を受けただけの学生、772人。

台風のなか、船で移動し、夜明け前に長沙里に上陸する。

上陸してすぐに戦闘が開始される。
敵も味方も、若者ばかり。
ひたすらに殺人が繰り広げられる。
戦争中は、殺人とは呼ばないが、これは殺人なのだ。

戦闘の結果、高地は奪還される。

同じ言葉を話す幼い兵士。
高校生がむりやり連れてこられて、兵士となった。

通信機は壊れ、船員は死に、食料はない。
韓国軍は長沙里に支援を送るつもりはなく、捨て駒にする気なのがありありとわかる。
国連軍の従軍記者であるアメリカ人の記者が、「従軍記者として長年やってきて、部下を大事に思わない将軍は初めてだ」と怒りを顕にする。

米が支給されるが、水がない。
海水で米を炊くが、ものすごく不味い。

イ大尉は戦闘経験がなかったが、学生だけ送り出すのができず、志願した。

人民軍が戦車4台でやって来るという。奇襲攻撃をかけることにするイ大尉。

仁川作戦は大成功した。
長沙里へ、人民軍が出発したと知らせが入る。
アメリカ海軍の支援は悪天候で届かず。

救える命を捨てていいのか?とアメリカ大佐に問うマギー(従軍記者)

トンネルに、爆弾を設置し、敵の侵入を防ぐ作戦。
狭いトンネルの中で、銃撃戦が繰り広げられる。

爆弾がなく、これ以上は戦えない。
連絡将校がついてることを祈るしかない。

食べ物がなく、ソンピルが任されるが、ソンピルに嫉妬しているハリュンがイラついて着いてくる。
そのさきで、ソンピルの従兄弟が人民軍でいる。
ソンピルは、縛って置いていくと言うが、ハリュンのせいで、従兄弟が死ぬ。ソンピルはスパイだと罵るそハリュンに、家族全員が人民軍のせいで死んだ。だから志願したと言うソンピル。

戦争で、こういうことはすごく起こるのだろう。
人間の醜さ、えぐさ、馬鹿さ加減。
誰かに従い、誰かのせいにする。
人を人として認識できなくなる。

若者たちは、無名の駒ではなく、ひとりひとりに、母がいて大切な人がいて、想いがある。
同じ血縁同士が戦う不条理。

大尉と一緒に食料が到着する。
撤収船が来る予定と一緒に人民軍の攻撃も予定されている。
撤収船より先に人民軍の攻撃が始まる。

敵の攻撃が激しく、全滅を避けるため、船のゲートが閉まる。
島に残る第一中隊。
ソンピルとハリュンも残る。
家に一緒に帰ろう、と約束して。
爆薬を詰んだトラックに、手榴弾を投げるハリュン。

船は遠のいていく。

イ大尉は、長沙里の海で死んだ若者は、死ななければ、輝かしい未来があったと訴える。
イ大尉は、死刑になるという。
米国の自由主義を守るために。

年を重ねたマンドゥク。
長沙里の海で、死んだ仲間に語りかける。

「国のために命を捧げた学生兵にこの映画を捧げる」

国のためにってなんだろうか。
明月

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