フェアにアンフェア

長沙里9.15のフェアにアンフェアのレビュー・感想・評価

長沙里9.15(2019年製作の映画)
3.1
いきなり鉄帽すら持ってなくて学生帽なのがやばい。全員学帽、上陸用舟艇なんかないゴムボート、濡らさないように命令された食糧は作戦開始の瞬間に海水に浸かる。厳しさの組み立てが周到だ。

双方、余力がなくても戦い続けるのは内戦でかつ代理戦争だから。悲劇は喜劇とはよく言ったもので、もはやコメディ。男子校の修学旅行みたいな一団が海岸線の防御陣地に突入する。

予算がそれほどあるわけではないようで、規模感は控えめ、戦闘シーンを工夫して目まぐるしさやら緊迫感をうまく出している。ただ死にに行くだけに見える学生たちをうまく導く、中隊長や一等軍曹たち基幹兵もこの集団が活躍する様子に納得感と多少の安心感を与えている、いなけりゃホラーにしかならない。

戦闘の合間は各人のエピソードを語っていくわけだけどハズレがない。けして尺埋めではなく当時を立体的に描いている。無駄がない。

こんなことあってはならないし、英雄と呼ぶべきでもないだろうけど、他国のこととはいえ、世の中が忘れないことが弔意と感謝に替わるといいな。