愛がなんだの監督の作品。
本作も、生活の中で生じる気まずい空気感とかぎこちない会話で生じる目線の揺らぎとか、何気ない出会いから始まる生活の変化とか身の回りのリアルな日常がふんだんに詰め込まれていた。
キラキラした日常とは程遠い、ありふれた日々の温度感や質感が心地よくて優しいぬるま湯に浸かっているような感覚。
もともと、邦画の独特の長回しや間、シュールな笑いがあまり得意ではなかったけれど、個性豊かな登場人物の一見ばらばらなエピソードがどのように収束していくのか最後までドキドキしながら観てしまった。
成田凌の出演シーンの絶対的安心感の一方で、あまり有名ではないキャストたちの少しおぼつかない演技もリアルで良い。
そして愛がなんだの時と同様、やっぱり若葉竜也くんの演技には引き込まれる。
街の上で繰り広げられる人間模様に奇しくも釘付けになりました。
街は変われど、それぞれが確かに存在していたその事実は消えないのよね。