NowLoading

ガンヘッドのNowLoadingのレビュー・感想・評価

ガンヘッド(1989年製作の映画)
3.2
 昨日の一本。なるほど、これは大したカルト映画だ。

 先週金曜日発売の「ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON」をプレイしていてふと思い出す、本作の存在。そういやガンヘッドを観たことなかったなと。そこでビールを引っ張り出して呑みながら鑑賞。

 本作がカルト映画たる所以は、世界を目論んで創られたという独特の世界観と日英各語が入り交じる不思議なコミュニケーション。そしてなにより一度見たものの心を掴んで放さないガンヘッド507の素晴らしいフォルムだ。まだトランスフォーマーがアニメだけの時代に特撮で、実写で変形する。この一分にも満たないシーンで本作はロボットオタクから語り継がれる知られざる名作になったのである。

 特撮や背景はハリウッドにも勝るとも劣らない高品質なもので(流石に「エイリアン2」とは比較しようがないが)、本気で世界に打って出てやるという気概が熱く本作からはにじみ出ている。日本のスーパーロボットではないリアルロボットの一つ一つの動作にシークエンスを挟む必要があるのもまた重厚感に一役買っているだろう。

 これだけなんやかんや言ってきてもレビューとしては苦しくなってしまうのはストーリーやキャラクターが超分かり辛いこと。背景を誤魔化すために暗くするから余計なにやってんのか分かんないこと。そんで、俳優陣の芝居が上手くないことだ。先述のコミュニケーションがぶった切り(会話になってない)から何を言ってるのか理解できないのに置いてけぼりにされるのだ。つまり、ガンヘッド以外に本作を褒めるポイントがないのだ。逆に言うならガンヘッド以外本作の見どころはない。でもそれだけで及第点叩き出すんだからやっぱサイコーなんだよな。

 パーカッションの気持ちいい音楽と「パーティーやろうか。ガンヘッド。」「銃で遊ぶな、ツキが逃げるぞ」「最後はスタンディングモードで死にたい」などの一度聞いたらついつい口に出したくなる妙にセンスのあるセリフ。あとは507と主人公ブルックリンのコミュニケーションとは言い辛い小気味よい掛け合いは日本のカルト映画の最高峰。本作はオススメする映画ではなくオタクがガンダムやらマクロスやらのロボットアニメを見終わった先に自分で辿り着く、そんな映画なんだと思う。
NowLoading

NowLoading