TaiRa

グリーン・ナイトのTaiRaのレビュー・感想・評価

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)
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凄く真っ当な寓話。首チョンパ映画だけど子供に観せて良いくらい教育的。

原作『ガウェイン卿と緑の騎士』から結構脚色しているみたい。主人公ガウェインが生粋のボンクラ男でモラトリアムを謳歌してると、緑の騎士の「遊び事」に挑戦する事になる。最初から母親の魔術やアーサー王との会話で、この映画の筋がハッキリするのも分かりやすい。象徴的な緑の腰帯も原作より上手く使ってるっぽい。つまりはへその緒を捨てる話。死の追体験という正統な通過儀礼。何度も死にかけながらそれを乗り越えて前に進み成長する。文字通り死ぬ夢まで観せてくれて可笑しかった。未来の幻視が劇中で二回あるのが面白い。前半で一回ジャブ打っとこうみたいな。擬似的な死の方法が「首を斬り落とす」というのも、頭を切り替えるみたいな感じで象徴的。アンパンマン新しい顔よ!みたいな。フィンチャーの『ゲーム』とか『ファイト・クラブ』の擬似的な死で生まれ変わる話と近い。ガウェインが世話になる城主夫妻との関係、あれはアムロがランバ・ラルとハモンに会ったとこの感じだよね。緑の騎士も父性の存在で、不在の父を埋める。ラストの切れ味と優しさが好き。
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