ギャス

グリーン・ナイトのギャスのレビュー・感想・評価

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)
3.4
面白かった。しかしドラマティックな起承転結を望む人にはお勧めしない。
個人的にこのようなストイックでダークファンタジックな映画が好きなので、ただ、淡々と移り変わる美しく幻想的な絵と音楽だけでも興奮できた。そこに神話的寓話的なエピソードの数々が盛り込まれる。

14 世紀の作者不明の叙事詩 「サー・ガウェインと緑の騎 士」を大胆に脚色した物語ということらしいので、原本を読んでみたくなる、が、きっと読まないだろう。この映画を楽しめたのですでに満足。

エンドロールの最後の最後、何を意味していたのかも面白い。

ネタバレ
女性達によって背中を押される騎士としての成長譚。グリーンマンのようなグリーンナイトの父親のような存在感もいい。
映画の中で緑という色についていろいろな解釈が出てくる。切って切ってもはえてくる根絶できない大地の命の象徴であるようでもあり、尽きない人間の欲望のようでもある。"走馬灯"ではまさに人間の欲望の末の絶望を見せ、実はすでに首は落とされていた(が命は絶えていなかった)ことがわかるところは、それらがクロスオーバーで象徴されていて上手いなと思った。しかし、原本ではなにかそれらしきメッセージはあったのだろうか。

ガリバー旅行記や孫悟空のような旅の物語としても面白かった。ちょっとゾクゾクした巨人のシーンは原作ではどのように描かれていたのだろうか。やはり気になる。

首はゴロンと落とされるものの、今後も何度か繰り返し観たい美しいクリスマス映画だった。
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