原題『The Green Knight』 (2021)
監督・脚本・編集 : デヴィッド・ロウリー
撮影 : アンドリュー・ドロス・パレルモ
音楽 : ダニエル・ハート
出演 : デーヴ・パテール、アリシア・ヴィキャンデル、ジョエル・エドガートン、サリタ・チョウドリー、ショーン・ハリス、他
14世紀の作者不明の叙事詩「サー・ガウェインと緑の騎士」を原作とした、アーサー王の甥が、幻想的で奇妙な冒険の旅を通して自身の内面と向き合う成長譚を圧倒的映像美で描いたダークファンタジー映画。
まだ騎士になる前のひ弱なガウェインが、決心のつかないまま周囲に促されるように旅立ち、夢とも現実ともつかないような危機に見舞われながら緑の騎士を探して進んでいく冒険ファンタジーでありつつ、気弱で怠惰なダメ息子が母親によって成長を促されるという、デヴィッド・ロウリー自身を反映させたかのような身近でパーソナルな物語と中世の英雄譚を重ね、壮大なスケールとテーマで、スタイリッシュな映像美で描いた寓話的な作品でした。
あと、冒頭の主人公が登場するシーンで彼女がガウェインに水を掛けて「目を覚ませ」と本作のメッセージをオープニングで暗に示しているのも「映画」的で好き。
