Yuki

アフター・ヤンのYukiのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.5

オープニングからぐっと掴まれる。もう大好きでした。時間が経って「あのシーンはこういうことだったのかも」と涙が溢れる、、まさに余韻を楽しむという点において素晴らしい!!どんどん点数が上がっていく映画。映像、ストーリー、視覚的聴覚的、、、何においても洗練されていて、本当、限りなく完成形に近い映画だと思った。

この映画、反芻すればするほど愛おしくなって、大切な人に勧めたくなる。。

What the caterpillar calls the end, the rest of the world calls the butterfly.
毛虫にとって最期の姿を、人は蝶と言う…

このシーンが印象的。彼の記憶(記録)を辿ることで、ヤンにとってのその意味をじんわりと感じる。それも「人間」による妄想なのかもしれないけど、ギュッと心を掴まれたような感じがした。終わりは無なのか?始まりなのか??AIは感情を持たないはずなのに。。。?理屈や言葉では説明できないものがあるような、、そんな気がした。彼の断片的で短い「記録」があまりにも暖かくて愛おしくて、大切な人に送る映画があるとしたらこれを選ぶだろうなという映画だった。

間違いなく今年一番の体験。
ものすごく大切なものを教えてもらったような気がする、、。

ストーリーは「コロンバス」の方が好きだけど、こっちもすごく良い。むしろ本作の方が映画としての完成度は高いと思う。

本作は前作よりさらに受け手に委ねる要素が多くて、コロンバスとはまた違った良さがあった。
難しいストーリーだし、SFは特にどこまで観客に委ねていいものか、塩梅が難しいと思うけどそれも完璧。設定についていけるけど、想像もできる。

見ている時に楽しめるのはもちろんだけど、見終わった後、映画を反芻してゆっくり余韻に浸る瞬間こそ味わえる映画でした。

コゴナダ監督の世界観で描くSFでありミステリーであり愛の物語であり、芸術作品であり、、本当に映画館で見てもらいたい映画。

監督の「中国茶」の演出には脱帽。茶葉がフワリと広がって水中を舞う中、お湯が少しずつ色付いていく…お茶ってこんなにも芸術的だったんだ。

まるで「中国茶」を入れている時のような映画。BGMも光の入り方も音も、水の中にいるような感じ。。薄暗い中でとても気持ちよかった。

その中でもクラブのシーンやダンスのシーンなど、スパイスもあって、映像体験としても良い。

暗い映像の中にもオレンジの光とか、服の色がアクセントになっていたりとか、部屋のレイアウト、街並み、本当に素敵なカットも沢山だった。見たらわかる!!
まるで美術館の絵のようなシーンもあった。冒頭のお店でジェイクが一人座って俯くところ、印象派の絵のような風合いが出ていた。

アスペクト比の使い方など、拘りや遊び心、丁寧さを感じる場面もいっぱい。

やっぱり2回見るべき映画かも。。

あと、ヘイリールーリチャードソン、本当どの映画でもいい味出す、、今回のクラブのシーンの数秒が最高だった。注目してます。
Yuki

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