Parry

アフター・ヤンのParryのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.9
中国人養子にルーツの文化を教えるAI・ヤンの修理に奔走する父親の話。

ヤンは移民二世以降のアジア系アメリカ人のメタファーで、周りがアジア人の自分に期待する文化や歴史に対し、個人の記憶を持たない移民2世がアジア人らしさを獲得していく話だと思った.

本当の親は誰?と言われた子に果樹園で継木を見せ「この木は元々別々の2つの木だったけど今は一つの木.継木をして新しい品種を作る.両方の木どちらも大切で支え合ってる.君の家族も同じ」と言うシーンは育った環境とルーツが違う人間としてグッときた。

近未来的な建物も小道具も美しいけどこれみよがしじゃない撮影.抑制が効いた上品な脚本.悪意を持った人が出てこないのもSFに珍しくて良かった.
アメリカにおけるアジア人らしさ,AIが定義する人間性,クローンの地位と多角的に論じられる脚本で考察を沢山読みたい。

異人種の養子のルーツ(中国)文化継承が一つのテーマだが,中国人の女の子の名前はミカでコチュジャンを作り浴衣を着る.
視覚的には美しかったけど東アジア文化をブレンドした意味は測りかねた.
(監督は韓国生まれだから東アジアの文化の見分けがつかないわけじゃなく意図だと思う。
↑以下この点について見た人と話した内容。アメリカでは東アジアのそれぞれ違う文化を一緒くたにされる環境で”中国人”の自我を作る難しさ(とヤンの重要性)を際立てる演出かな?と。

Mitskiのリリィ・シュシュとUAのみずいろインストカバーが聞けてラッキー。
テンポはスローなので寝る人は寝る映画ではある。
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