Wakana

アフター・ヤンのWakanaのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.3
AIがテーマの作品を見ると逆説的に人道について考える。人はどんなことで心を動かされるのか。どんなときに心の動きを感じることができるのか。ヤンはAIだから心はないけど、だからこそ心みたいなものを解釈したくなる。
ずるいのはヤンは絶対に嘘がつけない(正直にならないという選択肢はない)し感情がないぶん客観性があるから、彼の記録の断片を切り取ってもそこに嘘はないこと。その美しさは〈本当の〉美しさであること、あるいは美しいと思うことがフォニーでないこと。人間の記憶の断片を文脈無視して切り抜いたら『メメント』的な矛盾ばかりになりそうだが、そうはならない設定の作り方がうまいし、素直に感動できる映画になっていた。

あとこれは原作の問題だろうけど、どうも『クララとお日さま』を彷彿とさせた。子育てテクノとか家族の代替として扱うところとか。読み直したくなった。
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